Mule メッセージ構造

このバージョンの Mule は、拡張サポートが終了する 2023 年 5 月 2 日にその すべてのサポート​が終了しました。

このバージョンの Mule を使用する CloudHub には新しいアプリケーションをデプロイできなくなります。許可されるのはアプリケーションへのインプレース更新のみになります。

標準サポートが適用されている最新バージョンの Mule 4 にアップグレード​することをお勧めします。これにより、最新の修正とセキュリティ機能強化を備えたアプリケーションが実行されます。

Mule メッセージは、Mule アプリケーションのフロー内で処理されるときに、通常は外部ソースのメッセージコンテンツとメタデータのコンテナとして機能する、Mule イベントの一部です。

Mule イベントは不変であるため、Mule メッセージを変更するたびに新しいインスタンスが作成されます。メッセージを受信するフロー内の各プロセッサーは、次の要素で構成される新しい Mule メッセージを返します。

  • メッセージ​payload​。メッセージの本文が含まれます。たとえば、ファイルの内容、データベースのレコード、REST または Web サービス要求への応答が含まれます。

  • メッセージ​attributes​。ペイロードに関連付けられたメタデータ。

mule message structure 82af1

Mule メッセージは、HTTP リスナーが応答を受信したときや Scheduler コンポーネントがフローの実行をトリガーしたときと同様に、Mule フロー内のメッセージソースがフローの開始をトリガーしたときに ​Mule イベント​の一部として作成されます。

たとえば、Mule アプリケーションの HTTP リスナーは応答を受信したときに、応答のコンテンツをそのペイロードとして含み、そのコンテンツに関連付けられたメタデータも含む Mule メッセージを使用して Mule イベントを作成します。フロー内のメッセージプロセッサー (コアコンポーネント、File Read 操作、HTTP Request 操作など) は、その設定に従って、Mule イベントに存在する Mule メッセージデータを取得、設定、処理できます。

Anypoint Studio では、​xref:@studio::datasense-explorer.adoc[DataSense Explorer]​ にフローの特定ポイントでの Mule メッセージの構造が表示されます。

メッセージペイロード

メッセージペイロードには、メッセージのコンテンツまたは本文が含まれます。たとえは、ペイロードには HTTP 要求の結果、Database Connector の Select 操作で取得したレコードの内容、またはファイルコネクタや FTP Connector への Read 操作で取得したファイルの内容が含まれる可能性があります。

ペイロードのコンテンツは、フロー内を移動するにつれ、Mule フロー内のメッセージプロセッサーによって設定、強化、新しい形式への変換、情報の抽出、または Mule イベント変数への保存と新規ペイロードの生成が行われたときに変更されます。

Mule メッセージのペイロードは、​Mule Runtime 変数​ ​payload​ を使用する DataWeave 式で選択できます。

たとえば、​https://jsonplaceholder.typicode.com/users​ の JSON コンテンツに対する HTTP 要求への応答の ​payload​ を表示するように設定された Logger コンポーネントでは、次の例のような JSON コンテンツが Studio コンソールに出力されます。

例: HTTP 応答ペイロード
[
  {
    "id": 1,
    "name": "Leanne Graham",
    "username": "Bret",
    "email": "Sincere@april.biz",
    "address": {
      "street": "Kulas Light",
      "city": "Gwenborough",
      "zipcode": "92998-3874",
      "geo": {
        "lat": "-37.3159",
        "lng": "81.1496"
      }
    }
  },
  {
    "id": 2,
    "name": "Ervin Howell",
    "username": "Antonette",
    "email": "Shanna@melissa.tv",
    "address": {
      "street": "Victor Plains",
      "city": "Wisokyburgh",
      "zipcode": "90566-7771",
      "geo": {
        "lat": "-43.9509",
        "lng": "-34.4618"
      }
    }
  }
]

単純な JSON ファイルに対する File Read 操作の出力の ​payload​ を表示するように設定された Logger コンポーネントでは、次の例のような JSON コンテンツが Studio コンソールに出力される可能性があります。

例: ファイルペイロード
{ "hello" : "world" }

フロー内の次のメッセージプロセッサーは、このペイロードに対して、​payload.'hello'​ を含むペイロード内の JSON オブジェクトの値を選択し、先行する JSON ペイロードを文字列 ​"world"​ で置き換えるアクションなどを実行できます。

属性

属性には、メッセージの本文 (またはペイロード) に関連付けられたメタデータが含まれます。メッセージの特定の属性は、そのメッセージに関連付けられたコネクタ (HTTP、FTP、ファイルなど) によって異なります。メタデータはコネクタによって受信または返されたヘッダーとプロパティ、およびコネクタまたはコアコンポーネント (Transform Message など) によって入力された他のメタデータで構成されます。

Mule メッセージの属性は、​Mule Runtime 変数​ ​attributes​ を使用する DataWeave 式で選択できます。

たとえば、Logger コンポーネントを介して HTTP 応答メタデータを表示する ​attributes​ 変数を使用している場合、次の例のような HTTP 応答属性が Studio コンソールに出力されます。

例: HTTP 応答の属性
{
   Status Code=200
   Reason Phrase=OK
   Headers=[
      date=Sun, 20 Jan 2019 19:13:51 GMT
      content-type=text/html;
      charset=UTF-8
      transfer-encoding=chunked
      connection=keep-alive
      set-cookie=__cfduid=d03462713a0b2c57c8d2ad3bf311287041548011631;
      expires=Mon, 20-Jan-20 19:13:51 GMT;
      path=/;
      domain=.typicode.com;
      HttpOnly
      x-powered-by=Express
      vary=Origin, Accept-Encoding
      access-control-allow-credentials=true
      cache-control=public, max-age=14400
      last-modified=Tue, 15 Jan 2019 18:17:15 GMT
      via=1.1 vegur
      cf-cache-status=HIT
      expires=Sun, 20 Jan 2019 23:13:51 GMT
      expect-ct=max-age=604800,
      report-uri="https://report-uri.cloudflare.com/cdn-cgi/beacon/expect-ct"
      server=cloudflare
      cf-ray=49c3dc570c2f281c-SJC
   ]
}

この例は、Web ページ ​https://jsonplaceholder.typicode.com/users​ に対する HTTP Request 操作からの応答です。

各属性は、等号 (​=​) で区切られたキー/値のペアになっています。属性の値にアクセスするには、そのキーを使用します。たとえば、フローでコネクタまたはコンポーネント (Logger など) を使用している場合、次の構文を使用して、読み込んでいる HTTP 応答やファイルの属性にアクセスできます。

  • attributes.'statusCode'​: 200​ などの HTTP 状況コードを選択。

  • attributes.headers.'date'​: HTTP 応答のヘッダーから ​Sun, 20 Jan 2019 18:54:54 GMT​ を選択。

  • attributes.headers.'content-type'​: HTTP コンテンツタイプ ​application/json​ を選択。

ファイルメタデータの場合、属性は異なります。たとえば、Logger コンポーネントを介してファイルメタデータを表示する ​attributes​ 変数を使用している場合、次の例のようなコンテンツが Studio コンソールに表示されます。

例: ファイルの属性
LocalFileAttributes[
  lastModifiedTime=2019-01-20T08:17:55,
  lastAccessTime=2019-01-20T10:54:55,
  creationTime=2019-01-20T08:17:55,
  size=22,
  regularFile=true,
  directory=false,
  symbolicLink=false,
  path=/Users/me/Desktop/myJson.json,
  fileName=myJson.json

各属性は、キー/値のペア (​fileName=myJson.json​ など) になっています。属性の値を選択するには、次のようにそのキーを参照します。

  • attributes.'fileName'​: ファイルの名前 (​myJson.json​) を返す。

  • attributes.size​: ファイルのサイズ (​22​) を返す。

属性名の有効な識別子

「有効な識別子を宣言するためのルール」​で説明されているルールに従う属性名については、引用符を使用せずにアクセスおよび宣言できます。

有効な識別子ではない属性を使用するには、次のいずれかの文字で属性名を囲みます。

  • 単一引用符 (​'​)

  • 二重引用符 (​"​)

  • バッククォート (`)

たとえば、次の DataWeave 変数宣言について考えてみます。

var myVar = {
              id : "1234",
              "123 abc !@#" : "some_value"
            }

属性名 ​123 abc !@#​ は有効な識別子ではないため、引用符またはバッククォートを使用して宣言する必要があります。

属性 ​123 abc !@#​ の値 (​"some_value"​) にアクセスするには、引用符またはバッククォートを使用します。

myVar.'123 abc !@#'

属性名が有効な識別子の場合も、引用符またはバッククォートを使用して属性を宣言したり、属性の値を選択したりできます。

前述の変数宣言の例では、属性 ​id​ は引用符を使用せずに宣言されています。​id​ に保存された値にアクセスするには、次のいずれかの方法を使用できます。

  • myVar.id

  • myVar.'id'

  • myVar."id"

  • myVar.​id``