手動によるクラスターの作成および管理

このページでは、手動によるクラスターの作成および設定について説明します。クラスターを作成および管理する方法は 2 つあります。

  • Runtime Manager を使用する

    設定手順は、​「クラスター」​を参照してください。

  • 手動で設定ファイルを使用する

クラスターの要件と制限事項

  • クラスター管理ツールを混在させないでください。

    手動で行ったクラスター設定は Anypoint Runtime Manager とは同期されないため、プラットフォームで変更を行うと、クラスター設定ファイルが上書きされます。この状況を回避するには、手動での設定または Anypoint Runtime Manager を使用した設定のどちらかの方法のみでクラスターの作成と管理を行ってください。

  • クラスター内のすべてのノードで同じ Mule Runtime Engine と Runtime Manager エージェントバージョンを使用している必要があります。4.3.0-20210322 などの累積パッチリリースを使用している場合は、すべての Mule インスタンスの累積パッチバージョンが同じである必要があります。

手動でクラスターを作成する

設定ファイルを使用して手動でクラスターを作成する手順は、次のとおりです。

  1. ノードが実行されていないことと、Mule Runtime サーバーが停止していることを確認します。

  2. ノードの ​$MULE_HOME/.mule​ ディレクトリ内に ​mule-cluster.properties​ という名前のファイルを作成します。

  3. パラメーター = 値のペア (1 行に 1 つ) を使用してファイルを編集します。以下の例を参照してください。

    注意​: mule.clusterId​ と ​mule.clusterNodeId​ は、プロパティファイルに存在している必要があります。

    ...
    mule.cluster.nodes=192.168.10.21,192.168.10.22,192.168.10.23
    mule.cluster.multicastenabled=false
    mule.clusterId=<Cluster_ID>
    mule.clusterNodeId=<Cluster_Node_ID>
    ...
  4. クラスターに含めるすべての Mule サーバーでこの手順を繰り返します。

  5. ノードの Mule サーバーを開始します。

使用可能なパラメーターの完全なリストについては、「​[クラスター設定パラメーター]​」を参照してください。

手動でクラスターを管理する

クラスターの手動管理は、手動で作成されたクラスターでのみ可能です。

クラスターノードの設定を手動で変更する手順は、次のとおりです。

  1. ノードの Mule サーバーを停止します。

  2. 必要に応じてノードの ​mule-cluster.properties​ を編集し、ファイルを保存します。

  3. ノードの Mule サーバーを再起動します。

設定ファイルで適用するオプションがすべてのクラスターノードで有効であることを確認しておかないと、クラスター設定が壊れてクラスターが無効化される場合があります。

クォーラム管理

手動で設定したクラスター​を管理する場合、クラスターが稼働するのに必要なマシンの最小クォーラムを設定できるようになりました。

ネットワークをパーティション分割する場合、デフォルトでクラスターを使用できます。ただし、最小クォーラムサイズを設定すると、最小しきい値を満たしていない更新を拒否するようにクラスターを設定できます。
これにより、一貫性が向上し、予期せずにノード (クラスター内の Mule Runtime) が失われた場合にクラスターを保護できます。

通常の状況では、クラスター内のノードが停止しても、データを保存するのに十分なメモリがありますが、使用可能なノードが少なくなるため要求の処理に使用できるスレッド数が減少し、クラスター内のパーティションスレッドがすぐに不足する可能性があります。そのため、次のことが発生する場合があります。

  • クライアントの要求を処理するスレッドがなくなり、クライアントが置き去りになる。

  • 応答できない要求が多すぎて残りのクラスターメンバーで処理しきれなくなり、停止していると想定されてクラスターから除外されます。

メンバーが失われた場合にクラスターの残りのメンバーを保護するには、ノードの同時更新を停止する最小クォーラムサイズを設定します。これにより、クラスター内のアクティブなノードの数が設定値を下回ったとき、​QuorumException​ がスローされます。

クラスターのクォーラムサイズを設定する場合には QuorumExceptions をキャッチして、メールの送信、プロセスの停止、ログの実行、再試行戦略の実行などを実行するようにしてください。

クォーラムを有効にするには、​mule.cluster.quorumsize​ プロパティをクラスター設定ファイル ​{MULE_HOME}/.mule/mule-cluster.properties​ に配置して、稼働状態を維持するためのクラスターの最小ノード数を定義します。

クォーラム機能は、オブジェクトストアを使用するコンポーネントでのみ有効です。

オブジェクトストアの永続性

Mule Runtime Engine をオンプレミスで使用する場合は、すべてのクラスターノードからアクセスできる中央システムに JDBC データを永続的に保存できます。

以下のリレーショナルデータベースシステムがサポートされています。

  • MySQL 5.5+

  • PostgreSQL 9

  • Microsoft SQL Server 2014

オブジェクトストアの永続性を有効にするには、データベースを作成し、​{MULE_HOME}/.mule/mule-cluster.properties​ ファイルでその設定値を定義します。

  1. mule.cluster.jdbcstoreurl​: データベースに接続するための JDBC URL

  2. mule.cluster.jdbcstoreusername​: データベースのユーザー名

  3. mule.cluster.jdbcstorepassword​: データベースのユーザーパスワード

  4. mule.cluster.jdbcstoredriver​: JDBC ドライバーのクラス名

  5. mule.cluster.jdbcstorequerystrategy​: SQL 言語

    このパラメーターで有効な設定値については、「​クラスター設定パラメーター​」を参照してください。

この機能により、保持するオブジェクトストアごとにテーブルが作成されるため、データベースのテーブルは自動的に作成されます。
オブジェクトストアごとに 2 つのテーブルが作成されます。

  • データを保存するテーブル

  • パーティションを保存するテーブル。

オブジェクトストアデータベースの推奨事項

  • JDBC ストアでのみ使用される専用データベース/スキーマを作成することをお勧めします。

  • データベースのユーザー名は、次の権限が必要です。

    • データベース (​DDL​) でのテーブル用のオブジェクト ​CREATE​ および ​DROP​ の作成。

    • 作成するオブジェクト (​DML​)、​INSERT​、​UPDATE​、​DELETE​、および ​SELECT​ のアクセスと管理。

  • データストレージは、すべてのノードからアクセスできる中央 DB でホストする必要があることを常に念頭に置いてください。クラスターごとに複数のデータベースを使用しないでください。
    これらの値の設定方法についての詳細は、「​cluster configuration reference for persistency (永続性のクラスター設定リファレンス)​」を参照してください。

  • 永続的なオブジェクトストアは、​ComboPooledDataSource​ Java クラスに基づいたデータベース接続プールを使用します。Mule Runtime Engine は、接続プールの動作の明示的な値を設定しません。標準設定では、各プロパティのデフォルト値を使用します。
    たとえば、​maxIdleTime​ のデフォルト値は 0 です。これは、アイドル接続の期限が切れず、プールから削除されないことを意味します。アイドル接続は、アイドル状態でデータベースに接続されたままになります。
    接続プールの動作を設定するには、次のいずれかのオプションを使用して目的のパラメーター値をランタイムに渡します。

    • Mule の起動時にコマンドラインで複数のパラメーターを渡す。

      $ $MULE_HOME/bin/mule start \
      -M-Dc3p0.maxIdleTime=<value> \
      -M-Dc3p0.maxIdleTimeExcessConnections=<value>

      <value>​ を目的の値 (ミリ秒) に置き換えます。

    • $MULE_HOME/conf/wrapper.conf​ ファイルに複数行を追加する。

      wrapper.java.additional.<n>=-Dc3p0.maxIdleTime=<value>
      wrapper.java.additional.<n>=-Dc3p0.maxIdleTimeExcessConnections=<value>

      <n>​ を ​wrapper.conf​ ファイルの次に大きい順次値に置き換えます。

      ComboPooledDataSource​ Java クラスのプール設定についての詳細は、 この記事を参照してください。

監視

JMX テクノロジー​を使用して、クラスターメンバーでスローされるイベントを監視できます。

JMX 監視オプションは、デフォルトで無効になっています。有効にするには、​mule.cluster.jmxenabled​ プロパティを ​{MULE_HOME}/.mule/mule-cluster.properties​ 設定ファイルに追加します。

JMX を有効にすると、パフォーマンスのオーバーヘッドが発生する可能性があります (基盤となる構造で各ノードの統計を取得するためのリスナーが追加される場合)。

メンバーシップリスナー

メンバーシップリスナーを使用すると、次のイベントが発生するたびに通知を取得できます。

  1. 新しいメンバーがクラスターに追加される

  2. 既存のメンバーがクラスターから離脱する

これらのいずれかのイベントがトリガーされると、メンバーシップリスナーは、参加または離脱したメンバーのアドレスを出力します。

クラスター設定パラメーター

次の表に、​mule-cluster.properties​ ファイルのパラメーターを示します。

プロパティ名 説明 必須

mule.clusterId

クラスターの一意の識別子。任意の英数字文字列になります。

はい

mule.clusterNodeId

クラスター内のノードの一意の ID。1 ~クラスター内のノード数の間の整数になります。

はい

mule.clusterSize

クラスターに属するノードの数。

はい

mule.cluster.networkinterfaces

Hazelcast で使用されるインターフェースのカンマ区切りリスト。以下のようにワイルドカードがサポートされています。

192.168.1.*,192.168.100.25

いいえ

mule.cluster.nodes

クラスターに属するノード。​<host:port>​ の形式になります (例: 172.16.9.24:9000​)。1 つの IP アドレスのみを指定すると、サーバーがクラスターに参加できるようになります。

ポート番号は省略可能です。設定しない場合は、デフォルトは 5701 になります。複数のホストを含めるには、カンマ区切りリストを作成します。

このオプションでは、指定した固定 IP アドレスでクラスターを設定します。クラスターノードの検出にマルチキャストを使用しない場合、このオプションを使用します。このオプションを使用する場合、​mule.cluster.multicastenabled​ を ​false​ に設定します。そのように設定しないと、クラスターを開始するときに例外がスローされます。(この表の次の項目を参照)。

例:

ポート 9000 をリスンする 2 つのノード:

172.16.9.24:9000,172.16.9.51:9000

ポート 5701 をリスンする 2 つのノード:

192.168.1.19,192.168.1.20

いいえ

mule.cluster.quorumsize

稼働状態を維持するためにクラスター内に必要なマシンの最小数を定義できます。

いいえ

mule.cluster.multicastenabled

(Boolean (ブール))​ マルチキャストを有効/無効にします。クラスターノードの検出に固定 IP アドレスを使用する場合、​false​ に設定します (上記の ​mule.cluster.nodes​ オプションを参照)。
true​ に設定する場合、​mule.cluster.nodes​ で IP アドレスを設定しないでください。

いいえ

mule.cluster.multicastgroup

使用するマルチキャストグループ IP アドレス。

いいえ

mule.cluster.multicastport

使用するマルチキャストポート番号。

いいえ

mule.cluster.jdbcstoreurl

データベースに接続するための JDBC URL

永続データを保存する場合のみ必須。

mule.cluster.jdbcstoreusername

データベースのユーザー名

永続データを保存する場合のみ必須。

mule.cluster.jdbcstorepassword

データベースのユーザーパスワード

永続データを保存する場合のみ必須。

mule.cluster.jdbcstoredriver

JDBC ドライバーのクラス名

永続データを保存する場合のみ必須。

mule.cluster.jdbcstorequerystrategy

保存されているオブジェクトデータにアクセスするための SQL 言語。 このプロパティは、3 つの異なる値 (​mssql​、​mysql​、​postgresql​) を取ります。

永続データを保存する場合のみ必須。

mule.cluster.jmxenabled

(Boolean (ブール))​ 監視を有効/無効にします。

いいえ

mule.cluster.listenersenabled

(Boolean (ブール))​ メンバーシップリスナーを有効/無効にします。クラスターメンバーが参加または離脱したときにノードに通知するには、​true​ に設定します。

いいえ