RPA の概要

MuleSoft Robotic Process Automation (RPA) では、時間を節約でき、人間のミスの影響を回避するのに役立つボットを使用して、ビジネスプロセスとタスクを自動化できます。

MuleSoft RPA では、人間の入力が必要なプロセスを自動化でき、API が利用できないシステムと連携することもできます。RPA Bot は、アプリケーションとの連携、データの抽出、画像の読み取り、コンピューター入力の操作などを、人間よりもすばやく正確に操作できます。

MuleSoft RPA は、Exchange を介して自動化アセットを共有および再利用できるようにする Anypoint Platform や、アプリケーションおよびデータを自動化プロジェクトに接続する MuleSoft Composer と統合します。

ユースケース

RPA をプロセスに実装すれば、時間の節約やコストの削減、手入力によるエラーの防止など、さまざまな面でメリットがあります。

RPA の最も一般的なユースケースには次のようなものがあります。

  • データ抽出とデータ入力

    PDF、CSV などのファイル形式からデータを抽出して、このデータを他のシステムに送信します。

  • 給与処理

    給与データ入力を自動化して、複数のシステムの情報を検証します。

  • 価格比較

    仕入れ価格や競合他社の価格の監視を自動化します。

  • 返金処理

    顧客の返金要求の処理を自動化することで、より迅速な処理を実現し、顧客に最高の体験を提供します。

  • 顧客情報の更新

    API を使用しておらず、UI を使用してのみアクセスできるさまざまなシステムで顧客情報を自動的に更新します。

RPA ライフサイクル

MuleSoft では、次のようなフェーズが含まれる RPA 開発ライフサイクルを管理するための包括的なソリューションを提供しています。

  • 評価

    このフェーズでは、RPA Manager の [Process Evaluation (プロセス評価)] モジュールを使用して、プロセスの複雑さ、安定性などの重要な値に基づいてコストの削減や自動化をビルドするメリットを評価し、ビジネスプロセスが自動化に適しているかどうかを判断します。

  • 設計

    評価が完了し、プロセスが自動化に適していれば、実行するアクションやこれらのアクションが実行される条件を指定する自動化のワークフローの設計を開始できます。RPA Manager では、Business Process Model and Notation (BPMN) を使用してワークフローを作成します。RPA Manager のドラッグアンドドロップツールを使用してワークフローを手動で設計することも、RPA Recorder を使用して自動的に設計することもできます。

  • ビルド

    ビルドフェーズでは、以前に作成したプロセスに人間とボット向けの特定の手順を入力します。RPA Builder を使用すれば、RPA Manager で生成された BPMN ダイアグラムをインポートして、操作をドラッグアンドドロップするか、キー入力を記録してアクションステップを指定できます。プロセスのビルドが完了したら、RPA Manager にアップロードします。

  • テスト

    テストフェーズ中に、自動化プロジェクトのさまざまなテストシナリオを作成して、適切に機能することを確認できます。このフェーズは、開発プロセスにおける品質保証ステップとなります。このフェーズでは、さまざまなパラメーターを使用して現実のテストシナリオを作成し、エラーがある場合は失敗したステップをトラブルシューティングできます。

  • デプロイメント

    自動化プロジェクトでテストフェーズが正常に完了したら、デプロイの準備が整います。デプロイメントフェーズでは、RPA Manager を使用して本番のパラメーター値をセットアップし、プロセスの実行スケジュールを設定して、プロセスを実行する RPA Bot を選択します。自動化プロセスは 1 つまたは複数の RPA Bot に割り当てることができます。

  • 監視

    RPA Manager には、デプロイした自動化の管理や監視を行うオプションがさまざまに用意されています。デプロイした自動化のパフォーマンスを監視し、問題がある場合のアラートや通知を設定して、こうした問題の発生源を特定できます。

RPA アプリケーション

MuleSoft RPA では、自動化プロジェクトの開発ライフサイクル全体を管理するのに役立つ次のようなアプリケーションが用意されています。

アプリケーション 説明 機能

RPA Manager

RPA Manager とは、Anypoint Platform に統合される自動化のクラウドベースのコントロールプレーンです。

  • ユーザーアクセスや権限を管理します。

  • 自動化実装の実行可能性や金銭的なメリットを評価します。

  • RPA プロセスを設計して文書化します。

  • 自動化をテストしてデプロイします。

  • デプロイした自動化を管理して監視します。

RPA Builder

RPA Builder とは、プロセスのステップを指定することで自動化をビルドできるオンプレミスアプリケーションです。

  • 自動化アセットをダウンロードして RPA Manager にアップロードする。

  • 自動化ロジックをプロセスに追加する。

  • 自動化のローカルテストを実行する。

RPA Recorder

RPA Recorder とは、ローカル環境からのアクションステップを自動的に記録することで、プロセスのビルドフェーズ中に役立つオンプレミスツールです。

  • ユーザーアクションに基づいて BPMN ダイアグラムをビルドします。

  • キーボード入力、マウスクリック、使用されたアプリケーションを捕捉します。

  • 記録中にコメントや変数を追加します。

  • マウスクリックごとに自動的にスクリーンショットを撮ります。

RPA Bot

RPA Bot とは、オンプレミス環境で実行され、割り当てられた自動化を実行するソフトウェアロボットです。ボットは RPA Manager から管理できます。

  • 自動化を実行します。

  • テキストや画像を読み取ります。