財務分析の基礎

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_Overview

[財務分析]​ ビューでは、プロセスの金融的な側面を記録、監視、分析します。

プロセスの自動化に関するすべての経費を入力できます。プロセスを手動実行するコストと、すでに自動的に実行されているプロセスの数、そしてこれから毎月実行されるプロセス数に基づいて、プロセスの毎月の​純利益​と、想定される​損益分岐点​が計算されます。

コスト、節約額、純利益、損益分岐点が、プロセスの作成時を基点とした折れ線チャートで表示されます。データは、設定可能な期間 (最大 60 か月) 内で、自動化の開始時点から表示されます。

未加工データに変更を加えると、グラフに直接反映されます。そうすることで、プロセスの自動化がコストに見合うかどうかを分析できます。

財務分析には次の値が必要です。

  • 毎月の実際のプロセス実行数と想定されるプロセス実行数。

  • 人間がプロセスを実行した場合のコスト (​人間によるプロセス実行ごとのコスト​)。

  • MuleSoft RPA ソリューションを取得するための初期投資額と他のすべての投資額。

  • 初期投資と他のすべての投資の減価償却に要する期間 (月) (​初期投資の減価償却期間 (月)​)。

  • プロセス自動化の月次運営コスト (​運営コスト​)。

これらの詳細が不完全またはすべて未入力である場合は、テーブルに正しくない値が表示されるか、もしくは値が一切ないこと (​N/A​) が表示されます。

すべてのプロセスの概要は ​[財務分析用のプロセス]​ ビュー、各プロセスの概要は詳細ビューで確認できます。

このトピックでは架空のデータを使用します。このデータは相互関係をわかりやすく示すために選ばれたものであり、実際のケースに基づいた値ではありません。

未加工データ

プロセスコスト

プロセスコスト​は、MuleSoft RPA ソリューションの取得、設定、拡張に投じた、​減価償却期間​に渡って配分される​投資​と、MuleSoft RPA ソリューションを使用するための月次​運営コスト​で構成されます。

プロセスコストは、各ケースの 1 か月全体に関連します。

プロセス評価では、プロセスの手動実行コストは、​[コスト]​ に入力します。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Basics_Process_Evaluation_Costs

このプロセスに対してプロジェクトを作成すると、これらのコストがプロジェクトデータシートの ​[プロセスコスト]​ にコピーされ、変更できるようになります。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Basics_Process_Data_ProcessCosts

[財務分析]​ 側では、必要に応じてプロセスコストを調整して、引き続き管理できます。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CostEntries

プロセス実行数

プロセス実行数は、各ケースの 1 か月全体に関連します。

過去数ヶ月のプロセス実行数は、ボットによって実際に実行されたプロセスの数に、今月と残りの月に想定されているプロセス実行数を加算した値になります。

結果データ

結果データはグラフィカルに表示されます。計算は次のようになります。

固定コスト

月次​固定コスト は、1 か月の減価償却費の合計です。

減価償却期間は事前に決定されるため、月次固定コストも常に事前に計算されます。

新しい投資が行われると、これらのコストは増大します。

例: 月次固定コストの計算

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyFixedCosts_Example_Investments

この例では、5 月 20 日に 120,000 € の初期投資によって MuleSoft RPA ソリューションとその環境を購入しています。指定された減価償却期間は 12 か月です。この結果、以後 12 か月の月次減価償却費は 10,000 € となります。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyFixedCosts_Example_Initial_MonthlyFixedCosts

[コスト評価]​ のグラフでは、10,000 € の水平線で示されています。

2021 年 3 月には、自動化を拡張するために 10,000 € が追加投資されています。この投資の減価償却期間は 10 か月であるため、月次減価償却費は 1000 € になります。

2021 年 3 月以降、この金額が月次固定コストの合計に加算されています。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyFixedCosts_Example_Further_MonthlyFixedCosts

[コスト評価]​ のグラフでは、水平線が 1000 &euro だけ増加して 11,000 € になっていることによって、この事実が示されています。

2021 年 4 月には、初期投資の減価償却が完了しています。そのため、2021 年 5 月以降の固定コストは 1000 € のみとなります。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyFixedCosts_Example_FurtherReduced_MonthlyFixedCosts

[コスト評価]​ のグラフでは、水平線が 10000 &euro 下降して 1,000 € になっていることによって、この事実が示されています。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyFixedCosts_Example_Deprecated_MonthlyFixedCosts

この例では、2022 年 1 月以降は追加投資の減価償却期間も完了しているため、固定コストは 0 になります。新しい投資が行われるまで、​[コスト評価]​ のグラフの水平線は 0 を維持します。

運営コスト

月次​運営コスト は、固定コストの他に毎月繰り返し発生するコストです。レンタル費用や給与などが含まれます。

これらのコストは、​[財務分析]​ の詳細ビューにある ​[財務分析: コスト入力]​ パネルに入力します。

指定月の月次運営コストは、それぞれ、指定月の月次運営コストの合計です。以前に入力した運営コストは、それぞれ、次に入力される運営コストの前月まで有効です。つまり、新しい運営コストによって古い値が上書きされます。

合計コスト

月次合計コスト (​合計コスト ) は、月次固定コストと月次運営コストの合計です。

例: 月次合計コストの計算

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyFixedCosts_Example_Investments

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyTotalCosts_Example_OperatingCosts

月次固定コストと月次運営コストは、月次合計コストに含まれます。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyTotalCosts_Example_InitialTotalCosts

2020 年 5 月の月次合計コストは 10,200 € となります。この金額は、減価償却費の 10,000 € と月次運営コストの 200 € から計算されています。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyTotalCosts_Example_1stIncreaseTotalCosts

2020 年 9 月には、固定コストは変わらず、月次運営コストが 200 € から 500 € に増えています。その結果、月次合計コストは 10,500 € に増えています。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyTotalCosts_Example_SequelTotalCosts

その後の月次合計コストは、最初は固定コストのパターンに従うことになります。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_MonthlyTotalCosts_Example_2ndIncreaseTotalCosts

2022 年 5 月には運営コストが 2 倍になっているため、以降の固定コストも増えることになります。そして、その時点ですべての投資の減価償却が完了するため、合計コストは運営コストと同額になります。

累積合計コスト

累積月次​合計コスト は、前月の累積月次合計コストと今月の​合計コスト​を合算した金額です。

したがって、現時点までの集計コストに今月のコストが毎月加算されます。

例: 累積月次合計コストの計算

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CumulativeTotalCosts_Example_InitialTotalCosts

累積月次合計コストの初期金額は 10,200 € です。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CumulativeTotalCosts_Example_CumulativeTotalCosts

2020 年 8 月までの 4 か月間に、累積合計コストは 40,800 € ( ) に達しています。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CumulativeTotalCosts_Example_IncreasedCumulativeTotalCosts

2020 年 9 月からは月次運営コストが 300 € 増加しているため、この時点での累積合計コストは 51,000 € ではなく 51,300 € になります ( )。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CumulativeTotalCosts_Example_IncreasedCumulativeTotalCosts

2021 年 3 月からは、この金額に月次減価償却費として 1000 € が加算されます。そのため、累積コストも に増加します。2021 年 4 月には、初期投資の減価償却が最終回となります。そのため、2021 年 5 月からは累積合計コストの増加は緩やかになり、この時点での金額は となります。

節約額

自動化による月次​節約額 は、ボットが正常に完了した 1 か月の​プロセス実行の合計数 に、人間による 1 回のプロセス手動実行のコスト を掛けることで計算されます。

節約額の計算では、過去の月については丸 1 か月間で実際に実行されたプロセスの数を使用します。現在と未来の月については、想定される数を使用します。

例: 実際に完了したプロセス実行数の計算

実際に完了したプロセス実行数をチャートから間接的に読み取るのではなく、自分で計算する場合には、​[プロセス管理]​ ビューのプロセス詳細ビューで ​[実行結果]​ ビューを開きます。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CostEvaluation_Example_Savings_ProcessRuns_Total_Success

期間を 1 か月に設定して、​[成功]​ 列のすべてのエントリ数を数えます。実行数が 100 を超えている場合は、テープのすべてのページのエントリ数を数える必要があります。 この数にプロセスコストを掛けることで、その月の節約額を計算します。

データは毎回最初から決定されるため、プロセスコストが変更されると曲線も変化します。

例: 月次節約額の計算

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CostEvaluation_Example_Savings_ProcessRuns_ActualAndForecast

この例では、人間による 1 回のプロセス手動実行のコストは 70 € です。

現在は 2020 年 5 月です。

グラフを見ると、11 月にはプロセスが実行されていないことがわかります ( )。12 月にはプロセスが 50 回 ( )、1 月には 200 回 ( )、2 月には 25 回 ( )、3 月には 400 回 ( )、そして 4 月には 200 回 ( )、それぞれ実行されています。

想定されるプロセス実行数は 300 に設定されています。

そのため、5 月以降の節約額は一貫して毎月 21,000 € となります。

5 月が終わった時点で、実際のプロセス実行数を使用して 5 月の節約額が計算されます。

累積節約額

累積月次​節約額 は、前月の累積月次節約額と今月の節約額を合算した金額 ( ) です。

例: 累積月次節約額の計算

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_BreakEvenAnalysis_Example_Savings_ProcessRuns_ActualAndForecast

「​節約額​」でも使用したこの例では、すでにプロセスが 11 月から 4 月まで自動的に実行されています。プロセスの実行は、不確定な条件 (この場合は本の注文数の変動など) に依存するため、プロセスの実行数は月によって異なります。全体的には実行数が増加しているため、将来の実行頻度の予測は、この傾向を反映した値に設定されています。 予測が正しければ、節約額も毎月増加します。

この状況を示すため、毎月達成された節約額を、前月の累積節約額に加算します。

グラフを見ると、11 月にはまだコストが節約されていないことがわかります。12 月の節約額は 3,500 € で、1 月はさらに 14,000 € 増えて累積節約額は 17,500 € ( ) となり、2 月の累積節約額は 19,250 € ( )、3 月は 47,250 € ( )、そして 4 月は 61,250 € ( ) に達しています。

5 月以降は、毎月 21,000 € が加算され、グラフは直線的に増加します。

純利益

月次​純利益 は、自動化によって合計コストを節約できた金額です。

例: 月次純利益

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CostEvaluation_Example_NetProfit_Negative

月次​合計コスト が月次​節約額 を超えている限り、月次​純利益 はマイナスとなります。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_CostEvaluation_Example_NetProfit_Positive

月次​節約額 が月次合計コスト (​合計コスト ) を超えると、月次​純利益 はプラスになります。

そのため、節約額が合計コストを初めて超えた 2021 年 4 月にグラフの 2 本の曲線が交差しています。

損益分岐点は累積値に関連するため、損益分岐点に達するのはさらに後になります。

累積純利益

累積純利益​ ( ) は、前月の累積月次純利益と今月の純利益 ( ) を合算した金額です。

累積純利益はグラフには示されませんが、​損益分岐点​の計算に必要です。

損益分岐点

損益分岐点​は、累積純利益がプラス、つまり 0 を初めて超えた月です。

これ以降は、自動化が利益をもたらすことになります。

損益分岐点の位置

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_BreakEvenAnalysis_Example_BreakEvenPoint_MathVsMonth

数学的に言えば、損益分岐点は、累積節約額と累積合計コストが等しくなった点を意味します。グラフでは、このタイミングがオレンジ色の垂直の点線で示されています。

赤の垂直の点線は、累積節約額と累積合計コストが初めて等しくなった月の末日を示しています。

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_BreakEvenAnalysis_Example_BreakEvenPoint_LocationMappingDependingOnRunNumbers

両方の曲線の交差点が月の初日であれば、損益分岐点は計算どおりに表示されます。交差点が月の途中であれば、損益分岐点はその月の末日に表示されます。

例: 損益分岐点の計算

rpa_processOperations_FinanceAnalysis_Details_BreakEvenAnalysis_Example_BreakEvenPoint

この例では、2021 年 10 月に初めて累積節約額が累積合計コストを超えています。